シナリオライターの業務委託における現実|時給換算100円の案件

私が経験したライター業の多くはコンテンツ(記事)制作でしたが、業務委託でシナリオライティングの案件を受けることもたまにありました。

残念なことに、そのシナリオライティングでは単価が非常に安く、時給換算で100円程度にしかならない仕事でした。請求書を見た時、『こんなに安いのか…』と愕然しましたが、それでもシナリオライターの闇を知る良い経験にはなりましたね。

特に下請けになる業務委託でのシナリオライターでは、単価が極端に安くなる傾向にあるようです。私は決して、『シナリオライターの仕事はクソだ!』とネガキャンしているのではなく、場合によっては全くお金にならない仕事もあるという業界の現実をお伝えするために、本記事を書かせていただきたく思うのです。

業務委託でのシナリオライティングの仕事って?

シナリオ制作の仕事は正社員や派遣など常駐型の仕事だけでなく、業務委託の案件も多いです。『シナリオ制作』と検索すると出てくるようなシナリオ制作会社は、そのような仕事を外注ライターに依頼しています。

ゲーム会社内部だけでなくシナリオ制作会社に依頼するケースが多い

今はソーシャルゲームが非常に流行っていますが、そのようなゲームシナリオは開発しているゲーム会社が別のシナリオ制作会社にライティングを依頼している場合も多いです。

(秘密保持の関係上、具体的な会社名やゲーム名は公開できませんが)ゲーム制作会社のディレクターに面接で聞いた情報によると、とある有名タイトルのイベントシナリオはほとんど、シナリオ制作会社へライティングの依頼しているようです。

私が担当した仕事も業務委託(下請け)でした

私の実体験に話を移しますが、上記で取り上げたシナリオ制作会社に登録して、昨年の11月に仕事をもらいました。単発イベントのシナリオで、プロット(話の簡単な流れみたいなもの)や登場キャラクターは指定されているので、ストーリーの枠は考えてなくてもいいから楽か…といったら、そうではありませんでした。

タップや文字数などかなり細かく決められている

シナリオを書くにあたり、レギュレーションがガッチガチに固められているケースがよくあります。たとえば、タップ数(台詞や地の文の数)や1タップあたりの文字数、さらにはキャラクターの口調や性格など…数々の設定書を確認しないとすぐに書けない内容になっています。

文字数の制限が一番つらい

短い経験ですがシナリオライティングをやってみて、一番苦労したのはやはり文字数が逆に少なすぎることでしたね。『このキャラクターだったら絶対にこんなことを言う』とか、『オリジナリティを持たせたい』といいう希望があっても、文字数がなさすぎて結局ありきたりな台詞しか言わせられないもどかしさがありました。

文字数が少ないのも、シナリオ部分に予算を割り当てられないゲーム会社の意向があったり、会話が短くテンポ良く進むのが好まれているから…といった理由があると思われますが、書いている側からすると案外大変です。

6時間かけて書いたシナリオの価値は640円

試行錯誤して書いたシナリオは3パートほどあり、トータルで6時間ほどかかりました。制作途中で1タップ分の文字数変更を知らされて、そこでリライトを余儀なくされて…みたいな感じで時間がかかりました。

※受注中、シナリオの仕様が変更になるのはシナリオライターにとって珍しくないようです。

納品後、改めて請求書を確認すると…640円。こんなもんだと事前に解っていましたが、虚しいものです。それまで登録しているシナリオ制作会社から何回か仕事をもらいましたが、これだけ安い案件を回されるのは自分の為にもならないと思い、契約解除をしました。

どうしてシナリオライターの仕事は安いのか?

上記はあくまで、業務委託の仕事…つまり下請け側だからここまで安くても許されるのです。派遣や正社員などの常駐だと、まずこんなことにはなりません。

期間限定イベントが多いソーシャルゲームでは絶えずイベントシナリオがあり、自社にいるライターだけでは間に合わない場合、上記で説明したようにシナリオ制作会社(外注)に依頼します。そのシナリオ制作会社は囲っているライター(下請け)に仕事を回し、ピンハネしているのですから当然業務委託ライター側の報酬は安くなるのです。

シナリオライターは人気の職種

それでもシナリオ制作会社の事業が成立しているのは、経済的自立が難しくてもシナリオライターをやってみたいという人が多くいるからです。私も貯金を切り崩して続けたように、シナリオライターの経験者になりたいからシナリオ制作会社から安い仕事をもらうのです。

ただし、転職エージェントからもよく聞きましたが、シナリオライターは人気の職種である一方…供給過多になっていて、ごく一部の経験者にしか仕事が回っていない現状です。

参考:経験者でないとシナリオライターになれない?|転職面接の内容について

シナリオライターは正社員が望ましい|若くなければ諦める

経済的な問題を含め、やはりシナリオライターとして充実した仕事を得るには正社員になることをおすすめします。派遣やアルバイトの道もありますが、20代前半といった若い時期だけに限られるでしょう。

業務委託で続けていくには、よほどの我慢や才能がないと無理です。こんなことを言うのもあれですが、若いうちに専門学校やインターンなどでゲーム会社に入る準備を進めておくのが確実である一方、20代後半になってから突然『シナリオライターになる』って言っても様々な困難によって苦しめられます。

年齢のことに触れたのは、ソーシャルゲームなどの会社における年代層はかなり若く、シナリオライターはフレッシュな感性も大事であるからです。もちろん30歳以降になってからシナリオライターへ転職する人もいるかもしれませんが、転職市場では若さが重要なボーダーラインになります。

※実際、私が転職―エージェントに相談した時も『27歳は年齢的にちょっと厳しくなっている』と言われました。

私のようにただ働きに近い仕事を無理にもらい、貯金を切り崩していく悲惨なライフワークを味わいたくなければ、若いうちからライターにおける自分のビジョンを見出すべきでしょう。