新卒1年目のわたしが転職を決断した理由【連載小説3話 -給与が低い-】

  • 2019年8月16日
  • 2019年11月13日
  • 小説家

転職を決断した理由について様々あるとは思いますが、給与面で納得がいかず辞めていく人も中にはいるでしょう。特に新卒の方は、大卒の初任給の低さに驚くこともありますね。

こちらでは、新卒1年目の『わたし』が転職をしたがっている理由の一つとして、給与が低いということを小説形式でご紹介できればと思います。

▶️ 連載小説1話 -朝・満員電車が辛い-

▶️ 連載小説2話 -残業の多さ・無駄な業務-

▶︎ 連載小説4話 -仕事のやりがいがない-

▶︎ 連載小説5話 -人間関係が悪い-

▶︎ 連載小説6話 -将来に対する不安-

新卒1年目は給与が低すぎて貯金できない

誰もいない家に着き、ただいま、と消え入るような声でつぶやくのは理想上のわたしで、現実のわたしは会社に隕石落ちてこないかなと、執行猶予を免れないような人の心を失った声音を部屋の隅へ置いた。

テレビをつけ、閉店間際のスーパーで買ってきた半額の唐揚げ弁当をモソモソと食べる。電子レンジにかけたほうがよかったかな、と気づいた時は半分以上胃袋に入っていたので諦めた。

『スターの私服〜〜〜!!!』

結果発表が得意そうな大声を出すベテラン芸人の番組だった。画面上には、インフルエンサーから成り上がった自称モデルの有名人が私服姿で決めポーズをとっている。

『この日の私、シンプルなコーデなんでちょっと自信ないですねえ』

画面隅にあるワイプにはヘラヘラしたモデルがそう言っていたが、それでも子供の落書きみたいなプリントされてあるTシャツは1枚8,000円もする代物だった。機能性ゼロのペラペラなカーディガンはなんと20,000円越え。

『たっか』

最後の唐揚げを飲み込んだわたしは、今日着て行ったカッターシャツがあのTシャツの4分の1かと思うと、ひしひしと格差を感じる。

布切れにそこまでお金を出したくないという個人的な思いもあるが、それ以上に経済的な余裕もないことも事実。月あたり0~2万しか貯金できないわたしはもっと給与の良い会社へ転職したいし、自分より年下の(薄っぺらい人間の)モデルが散財している姿を見てありとあらゆる対象へ怒りを感じていた。当然、その対象にはわたし自身も入っている。

新卒1年目は給与の高い会社へ転職したい

シャワーを浴び、ベットへと潜り込むと寝る前に転職サイトで求人チェックをする。営業系の仕事もあるが、第二新卒の求人となれば経験者でも年収はそこまで高くない。

『月収22万円…あまり変わらないか』

たまに待遇の良い営業の求人もあるが、大抵は不動産会社だった。両こめかみを刈り上げ、性欲が強そうな下品な笑顔を浮かべている男性社員の写真が出ている会社は基本スルーしている。

『営業はもういっか。あとは…事務系は…』

オフィスワークも悪くないが、営業からの転職だとあまり動機もないしやりがいも感じられない。どうせ面接で老害に等しい総務部長から『あなた楽をしたいだけでしょ?』と鼻で笑われて終わりなので、こちらから願い下げだ。

『じゃあ、給料の高いところってどこなの』

それこそ、エンジニアとか専門職の経験者が該当する。わたしはまだ、就業経験半年未満の第二新卒。これからでも新しい仕事を目指せるとは思うが、最初から給与や待遇を求めてはいけない。

『ま、地道に頑張るか。副業っぽいことをしながらでもいいし』

具体的に頑張ることはさておき、スマホをベットの端に置いて目をつぶった。自分に与えられた選択肢はまだ少なく、選択は今日でなくても大丈夫だと見なして、夢の中ではせめて大金持ちになってほしいと願った。

第4話へ続きます