新卒1年目のわたしが転職を決断した理由【連載小説1話 -朝・満員電車が辛い-】

  • 2019年8月9日
  • 2019年11月13日
  • 小説家

当サイト・転職情報サイトCOERUを運営している私は過去、シナリオライターの仕事をしていたり小説家を目指すための新人賞応募などの活動をしていまして、倉橋由美子氏の作品などに影響されつつ短編から長編・連載系の小説を書いていました。

そこで、今後転職関連の情報とあわせて、社会人が転職を決断する理由などを小説形式でご紹介していきたいと思います。わりと謎なコンテンツですが、主人公の『わたし』は新卒1年目という設定だけ与えておいて、早速以下で書かせていただきます。

▶️ 連載小説2話 -残業の多さ・無駄な業務-

▶️ 連載小説3話 -給与の低さ-

▶︎ 連載小説4話 -仕事のやりがいがない-

▶︎ 連載小説5話 -人間関係が悪い-

▶︎ 連載小説6話 -将来に対する不安-

新卒1年目の朝は早い

ーー雨の日がずっと続いていたかと思えば、太陽が照りつける猛暑がすぐにやってきた。クーラーの冷気をものともしない朝焼けの熱がわたしの睡眠を邪魔する。

『……』

組み立て式のパイプベッドは腰に悪く、相変わらず深い眠りにつけない。『せめてお金を出して、セミダブルにしておけばよかった』と文句を言うと思ったが、残存する眠気に負けて唇をわずかに動かしただけだった。

二度寝したい欲望と戦いつつ、目覚まし時計のある方向へ寝返りをうつ。このパイプベッドと一緒に買ったアナログ時計の短針は容赦なく7の数字を突き刺している。

このままだと7は長針にも身体を貫通させられ、ズタボロになってしまう。せっかく7の転職をサポートしていたエージェントは噎び泣き、ペット用のお墓へ埋めてしまうだろう。そして、転生を遂げた7は勇者へと転職して、ありとあらゆるアナログ時計の針を破壊する旅へと出るのだ…

『……いけない! 二度寝してた!』

転職・転生系のライトノベル愛好家も憤慨するほどの支離滅裂な幻想を夢見ていたわたしは、いつもより15分ほど遅れて起床。朝食のコーンフレークを胃に流し込み、支度を急ピッチで済ませてワンルームの部屋から追い出されるように出勤した。

ーーホント、転職したい。もっと寝ていたい…

憂鬱な朝がこれから何年も続くと思うと、サラリーマン兼奴隷ないしは会社の犬という烙印を押されてまで働くモチベーションが保てなくなる。

4年間、生ぬるい環境で育った(正確に言うと遊んだ)大学を出て、新卒として働き始めたわたしは、社会人初の真夏に早くも負けそうになっていた。

もちろん、負ける要素の中には朝早く起きなければならないといった義務もあるが、もっと嫌なことがあるのだ。

新卒1年目は電車通勤が辛い

電車通勤、それはわたしの精神を奈落の絶望に突き落とす四文字。とてつもない大きなストレスが蓄積される満員電車だ

今日は二度寝してしまった分だけ、電車に乗るのが遅れてしまった。それだけで、目の死んだ奴隷たちがぎゅうぎゅうに押し込まれる電車は不快な道具から凶器へとレベルアップする。

ーーやっぱり早く来ればよかった。この時間の丸ノ内線は地獄だ。

胸裡で嘆くわたしの足が半ば浮いているのは、公害に等しい加齢臭を纏う中年男性の背中と、内臓が腐っていると思わせるほど口臭がひどい中年女性の醜い太い腕に挟まれているからだった。

ーーみんなどうして、この状況が異常って思わないの? 思っているのに発狂していないだけなの?

夏の満員電車は特に過酷で、臭さに加えて他人の汗が自らの肌に触れる不快感がわたしの転職意欲を強める。

ただ、仕事を変えたところで満員電車から逃れられるだろうか?

東京で一人暮らしをしている以上、大半の仕事で電車通勤せざるを得ないのでは?

リモートワークが可能な会社があるかどうか、電車に揺られながらスマホから転職サイトにアクセスして調べたが、そういう会社は経験豊富なエンジニアがほとんどだった。企画営業で働くわたしには縁がない。

『新宿〜〜新宿です〜〜』

家でゴロゴロしながら仕事できならいいな、と甘い妄想をしつつ、現実のわたしは電車を降りる乗客の波にのまれながら安い香水臭い女にヒールで足の甲を踏まれて眠気が覚めた。駅のホームでその女の顔面をボコボコにしたのも妄想内の話だった。

第2話に続きます