6年間で17作品の小説を書いた小説家志望の(稚拙な)アイデア紹介!

私が小説を書き始めたのは2012年からでした。最初こそライトノベルらしい小説を心掛けて書いてみたものの、途中から構想が脱線してエンタメ小説や純文学に移行し、またライトノベル新人賞の応募へと戻りました。

自分としては最初の作品から随分成長していると思うのですが、新人賞の結果は芳しくなく、たった1作品だけ一次選考を通過しただけでした。『こんな小説家志望のアイデアなんて参考にならない』という意見は全うですが、未熟な小説家志望が何を考え、感性をどう変えていったのか…折角なのでWebライティング形式(?)で17作品を紹介していきます。

※なお、筆名は色々変えましたが現在は『春里亮介』名義で新人賞に応募しています。

小説新人賞応募初期|ライトノベル傾向

最初はライトノベル作品なら書ける(この発想自体、ダメな感じがしますが)と思い、ライトノベル向けの小説新人賞に応募しました。

1作目:スポーツもの(合気道)|2012年1月~3月

ちょっとだけ合気道の経験があったのと、スポーツものって爽やかじゃん、という安易な発想から生まれた長編小説です。ストーリーの組み立てがメチャクチャだったので、一次選考で落ちました。

2作目:ループもの|2013年7月~9月

1年以上空いたころ、本業(営業職)を続けられる自信がなくなり『また小説家を目指すか』と思い、PCゲームの『リトルバスターズ!』を意識したループものの長編小説。物語の目的が全く意味不明だったので、一次選考で落ちました。

3~4作目:現代ファンタジー|2013年10月~12月・2015年7月~9月

東京五輪が決まった時、『五輪とファンタジーの組み合わせって面白そう』と思い、一回書きましたが応募する前からダメそうだったので、そのまま放置。その後、また1年以上経過して『リメイクすれば何とか』と感じ、五輪と魔女のコラボファンタジーを執筆応募。結果、批評コメントより『キャラクターの魅力が一切ない』と一言だけ書かれ、一次選考で落ちました。

5作目:異世界ファンタジー|2015年10月~12月

ついに手を出さざるを得ない『異世界もの』を取り入れましたが、選評より『無意味な話が多過ぎる』と言い捨てられて一次選考で落ちました。

小説新人賞応募中期|哲学・メタフィクションの取り入れ

応募しても全く結果が出なく、アイデアに乏しいのでは…と思い、言葉に対する学びを心掛けました。哲学書を読み、プラトンのイデア論やハイデッガーの存在論からメタフィクションへと繋げ、様々な試みをしたのであります。

6作目:哲学ファンタジー|2016年2月~5月

『イデアガール対話篇』というタイトルの長編小説で、イデア論に人生の希望と絶望を詰め込んだ女の子を哲学的思弁で救う話…みたいな感じです。とある新人賞でこれだけ一次選考通過しました。

ただ、二次では『話に面白味がない』と言われてダメでした…

7作目:異世界&哲学ファンタジー|2016年6月~8月

『存在への問いとしての超越幻想哲学』というタイトルの長編小説で、『結局は異世界モノか?』と安直な発想で、ハイデッガーの存在論をふんだんに使った異世界ファンタジーを書きました。コメントもなく一次選考で落ちました。

8作目:文芸同好会&メタフィクションの話|2016年9月~12月

カクヨム(Web小説)での投稿で、メタフィクションや舞台の多重構造などストーリーがメチャクチャだけで面白そうな話を書こうと思い、登場人物を文芸同好会の学生にしました。

この辺りの作品は円城塔氏、筒井康隆氏の虚構SFより影響を受けており、以降の純文学作品にもメタフィクションの考えは必ずと言ってもいいほどあります。

本作『彼岸の世界』は書いた当時はどの新人賞にも応募していなかったことを思い出し。2018年になって別作品とまとめて応募しました。その結果も分かり次第別記事にて紹介したいと思います。

参考:カクヨム 彼岸の世界

9作目:女流雀士と自殺志願者の話|2016年9月

ライトノベル以外のジャンルへの挑戦を決め、エンタメ小説を短編で書き上げました。地下アイドル崩れの女流雀士と自殺志願者の少女が会い、絶望の中にある希望を少しずつ見出していく話です。

『苦界』という題名を与えた通り、生きること自体が地獄だと思う二人の登場人物はそれでも最後は前向きに生きることを決めましたが、それとは別に一次選考で落ちました。

小説新人賞応募後期|純文学・観念小説

一つのメルクマールになるような文体は何だろうと思い、浅く広く小説を読んでいたところ、野上弥生子氏と倉橋由美子氏の作風に感銘を受け、以降は純文学作品を書きました。

特に倉橋由美子氏の作風には、自分の好みと合致するようなメタフィクション…幻想的で宝石のような文体…何処でもない彼処へと続く虚空を感じさせるような、素晴らしい魅力があったのです。

10作目:抽象小説|2016年11月

『相入相即』という短編小説で、名前すら与えられず数字で呼び合う抽象的な登場人物達が、精神病院で閉じ籠る患者のように支離滅裂な狂気に身を任せる話です。本当に意味不明だったので一次選考で落ちました。

11作目:同僚が自殺した話|2016年12月

9作目では自殺志願者を登場させましたが、こちらは同僚が完全に自殺した話です。しかし、取り残された主人公は同僚が自殺した理由を突き止められず、結果的には理由なき理由で死んでいったと判明して終わります。

したがって、何もない。『空有的存在』というタイトルの短編小説は本当に何の結果も残せず、一次選考で落ちました。

12作目:観念&少女小説|2017年1月~2月

この辺りから倉橋由美子氏の作風を完全に意識し、意図的に文体を模倣しました。死後の世界とも捉えられるような霊妙不可思議な都内で、生と死について考える三人の男女を交錯させました。

裏テーマでは少女小説といった要素も入れ始めましたが、本作品『遺界』は案の定一次選考で落ちました。

13作目:恋愛&少女小説|2017年2月~3月

これは完全にモチーフがあり、倉橋由美子氏の『聖少女』を参考に書きました。それと、8作目『彼岸の世界』の続編(乃至パラレルワールド)ともいえるストーリーになっており、大人になった四人の男女が小説形式で互いの思いと過去を語っていきます。

本作品『遺書』は自分にとって、最も丁寧によく書けた中編小説だと思っています。メタフィクションも介在したややこしい恋愛観と禁忌とも見做せる愛…捻じ曲がった感情の間には居なかった者を存在させる信念があり、やり切った感はありましたが、一次選考で落ちました。

14作目:小説家&SF|2016年12月~2017年3月

本作品は円城塔氏のSFや野上弥生子の恋愛論、倉橋由美子氏の初期作品などいろんな作家様を参考にしました。登場人物の名前は、野上弥生子氏の長編小説『迷路』から一部いただいています。

純文学作家としてデビューした少年が挫折し、ライトノベル作家への転向で思うように筆が進まないところ、既存作品を機械的にオートリライトしてくれるプログラム《Surreal Character Transfer Engine》を作った少女が協力してくれる…というあらすじになります。

これもカクヨムで公開済みですが、新人賞応募は2018年になった現在、別作品とあわせて応募しました。文体は硬いものの、ストーリーラインは柔らかく仕上げたのでライトノベル向けの新人賞で送りました。

参考:カクヨム Surreal Character Transfer Engine

15作目:恋愛小説|2017年3月~4月

こちらも本来は純文学向けで書こうと思いましたが、ライトノベル系統の新人賞で応募しました。大人になった男女二人が出会った頃の話をしながら、今の幸せを噛みしめるはずが…どこか記憶の違いや欠けた想い出があり…最後には主人公が書いた空想小説という話でした。

まあ、言うまでもなく一次選考で落ちました。

16作目:ライター&宗教的な話→メタフィクション|2017年8月~9月

Webライターの仕事を頑張っていた時期だったので、『仕事の話を小説にしよう』と思い、エンタメ寄りの純文学的なバランスで書きました。

しかし、書いているうちに観念小説の誘惑に負けて、主人公のディレクターは実は、不気味な宗教の創始者であったライターが書いた小説内=存在であったというストーリーにしてしまいました。てな訳で、一次選考で落ちました。

小説新人賞応募現在|トレンドをシナリオライターで補完

紆余曲折あって、シナリオライターをやってみた時期もあり、最後はこの仕事のことでも書くかと決めました。

17作目:シナリオライターで感じた苦悩|2017年12月~2018年3月

シナリオライターをやってみて、マイナスなことも多かったです。もっと書きたいストーリーがあるのに、この職業では叶わないのか…と感じた思いをライトノベルにしました。

参考:シナリオライターの業務委託における現実|時給換算100円の案件

参考:経験者でないとシナリオライターになれない?|転職面接の内容について

本作品『ミューズ・リライター』はソーシャルゲームへの転移でシナリオを改変できる、といった異能力をテーマにシナリオとは…物語の価値とは…といった問題について考えていく長編小説です。別作品と一緒に応募中ですが、一次選考で落ちました、になりそうな感じが凄くします。

6年間書き続けて作風は変わったのに…

改めて17作品をまとめ、見直してみると…あまり成長していないことに気付かされます。結局はメタフィクション(シナリオや小説を書く側、及び書かれた世界側)という多重階層に頼らざるを得ない時点で、非常に解りづらい作品になっているのだと思います。

今はWebライターで頑張れる環境になっているので、小説家への夢は自然と諦めると思います。今回応募した3作品がどう評価されるかで、また気持ちが変わるかもしれませんが一次選考で落ちました、であっさり終わる未来が見えるのであります。